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聴力検査の結果からわかること|見方を理解しよう

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主要な聴力検査として、純音聴力検査と語音明瞭度検査があります。今回はこの2つの検査結果の見方についてお伝えします。

純音聴力検査

純音聴力検査とは

純音聴力検査は、7つの音の高さ(125Hz~8,000Hz)について、聞くことができる一番小さな音を調べる検査です。気導(ヘッドホンをつけて測る)と骨導(耳の後ろや額の真ん中に端子をあてて測る)の聴力をそれぞれ調べます。

ピッピッピッと聞こえたらボタンを押します

測定結果をグラフに記入したものをオージオグラムといいます。オージオグラムを見ることで、聴力の程度や難聴のタイプを知ることができます。

オージオグラムの見方

オージーグラムの縦軸に書かれている聴力レベル(㏈)は音の大きさを表します。横軸の周波数(㎐)は音の高さを表します。

気導の結果は×骨導の結果は で表します。矢印マークはスケールアウト(測定不能)のことです。

聴力の程度

25㏈のラインよりも上にグラフがあれば聴力は正常ですが、グラフがラインよりも下に下がれば下がるほど難聴の程度は重くなります。

聴力の程度(=平均聴力レベル)は、{500Hzの聴力+(1000Hzの聴力×2)+2000Hzの聴力}÷4という計算式で表します。身体障害者手帳(聴覚障害)に該当するかどうかの判定もこの計算式を用います。下表は、平均聴力レベルの求め方についての一例です。

上図のオージオグラムの場合

■右耳の平均聴力レベル  {10+(10×2)+5}÷4=8.75㏈

■左耳の平均聴力レベル  {10+(15×2)+10}÷4=12.5㏈

平均聴力レベルによって、難聴の程度を分けることができます。

難聴のタイプ

難聴のタイプは、伝音性難聴感音性難聴混合性難聴の3つに分けることができます。伝音性難聴は、耳介や鼓膜、耳小骨が障害されることで生じます。感音性難聴は、内耳や神経の障害によって生じます。混合性難聴は伝音性難聴と感音性難聴の両方の症状を呈します。

下図は、伝音性難聴のオージオグラムの一例です。伝音性難聴は気導と骨導の聴力で差があり、かつ骨導の聴力が正常値を示すのが特徴です。

伝音性難聴とは

外耳や中耳(=音を増幅して内耳に伝える)が障害されることによって生じる難聴

主な原因

  • 生まれつき外耳道が閉じている
  • 耳垢や異物が詰まっている
  • 中耳炎
  • 鼓膜外傷 など

伝音性難聴の場合、医学的な治療で難聴が治る場合があるので、違和感を感じたらすぐに耳鼻科を受診することが大切です。

下図は、感音性難聴のオージオグラムの一例です。感音性難聴は気導と骨導の有意差がなく、どちらも難聴を呈するのが特徴です。

感音性難聴とは

内耳(振動を電気信号に変換して聴神経に伝える)や聴神経、脳が障害されることで生じる難聴

先天性の主な原因

  • 遺伝
  • 奇形
  • 妊娠中のウイルス感染

後天性の主な原因

  • 加齢
  • メニエール病
  • 突発性難聴
  • 騒音性難聴 など

難聴の約8割は感音性難聴といわれています。

下図は、混合性難聴のオージオグラムの一例です。混合性難聴は伝音性難聴と感音性難聴の両方の症状を示します。気導と骨導で差があり、かつ両方とも難聴を呈するのが特徴です。

様々なオージオグラム

オージオグラムは主に12の聴力型に分けることができます。聴力型は、難聴の原因や機序を診断する上で重要な情報になります。

下図は、オージオグラム聴力型の出現頻度を表しています。

APD(聴覚情報処理障害)/LiD(聞き取り困難)の場合、オージオグラムは正常型を示します。APD/LiD精査のためには、純音聴力検査だけではなく、より詳しい聴力検査が必要になります。

語音明瞭度検査

語音明瞭度検査とは

語音明瞭度検査は、ことばを聞き分ける力を調べる検査です。「あ」「い」など、20個の単音節を聞き、何個正解したかを%で表します。音の大きさを変えて何回か行い、一番良い結果を最高語音明瞭度といいます。

下表は最高語音明瞭度による聴覚理解の程度を表しています。(あくまで目安です)

語音聴力検査は、補聴器のフィッティングや装用効果、人工内耳の術前・術後の聴力評価、社会生活における困り感などを把握するためにも大切な検査です。自分自身では特に聞こえに変化を感じていなくても、できれば1年に1回は純音聴力検査と語音明瞭度検査を受けて、継続的に聴力の経過をみていくことをお勧めします。

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