コラム

聞こえのしくみ|どのようにして音は聞こえるのか?

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今回は、音がどのようなしくみで聞こえるのか、それぞれの器官はどんな働きをしているのかについてわかりやすくお伝えしたいと思います☺

音が伝わる順路

耳から入った音の情報は様々な経路を経て、最終的に脳へと送られます。音は、外耳→中耳→内耳→蝸牛神経(聴神経)→脳幹→一次聴覚野(側頭葉)の順に伝わります。

耳から入った音は複雑な経路を経て脳へと伝わる

蝸牛神経から送られる情報は、蝸牛神経核、上オリーブ核、下丘へと伝わり、内側膝状体を経て一次聴覚野に送られます。

外耳から脳に至る聞こえの経路を聴覚伝導路とよぶ

耳から入った音は、主には同側の蝸牛神経核→対側の脳幹を経て一次聴覚野へ伝わりますが、同側を伝わる経路もあります。左右の神経が信号を交換し合いながら様々な聴覚情報の処理を行っています。内耳は胎生24週頃に完成し、音刺激に対する胎児の驚愕反射は胎生28週頃に出現します。ただ、この時期の反応は脳幹レベルに由来したもので、大脳聴覚野における聴覚刺激の処理は出生前後以降に開始すると言われています。

外耳とは

外耳は、耳介と外耳道から成ります。

一般的な「耳」と「耳の穴」のこと

耳に手をかざすと音が大きく聞こえるように、耳介は音を集音するパラボラアンテナのような役目を果たします。また、頭部の影響で左右の耳介に到達する音の大きさや時間差が生じることによって音の方向感を感じ取ることができます。外耳道は音を共鳴させることで、3,000~4,000Hz付近の音を増幅(約15dB)させる機能があります。

中耳とは

中耳は、鼓膜、耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)、鼓室(中耳腔)、耳管から成り、外耳から入る音の空気振動を内耳に伝える働きをします。

鼓膜の奥に様々な器官がある

耳小骨は、鼓膜の振動をより大きく増幅(約30㏈)させて、内耳にある蝸牛へ伝える働きがあります。また、強大音が入ってきた際には、耳小骨に付着している筋肉が作用し、蝸牛に過剰な振動が伝わらないよう振動を抑制する機能もあります。耳小骨は206個(成人の場合)ある人体の骨の中で一番小さい骨です。ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨の3つの骨が、梃子の原理で鼓膜からの振動を増幅させます。

耳小骨を人差し指に置いたイメージ(左からツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)

耳管は、通常は閉じていますが、唾を飲み込んだり、あくびをしたりすると開いて、鼓膜の外側と内側の気圧のバランスを保っています。 また、耳管は咽頭につながっており、鼓室内に出る分泌物を咽頭に排出する役割を持っています。

耳管は鼻の奥の方と繋がっている

大人の耳管に比べて、子どもの耳管は短く、太く、水平な構造のため、鼻から耳に菌が入りやすくなります。

子どもが中耳炎になりやすいのはこのため

内耳とは

内耳は、聴覚に関わる蝸牛と、平衡感覚に関わる前庭および三半規管から成ります。これらは互いに交通していて、リンパ液という液体で満たされています。

蝸牛はその名の通りかたつむりのような形をしています。音(=空気振動)が外耳、中耳を経て蝸牛に伝わると、蝸牛内にある音を感知する細胞(有毛細胞)が揺れて興奮し、振動を電気信号に変換します。この信号が蝸牛神経を通って、脳幹、脳へと送られます。

蝸牛の大きさ=小指の第一関節くらい

有毛細胞は片耳に約15,000個あり、入ってくる音の高さによって最も鋭敏に感知する部位が決まっています。蝸牛の入口付近は高い音、蝸牛の先端付近にいくにつれて低い音に反応します。

音の高さに応じて有毛細胞の働く部位が変わることを視覚的に表した動画がコチラです☟

さいごに

様々な器官が複雑に関わり合うことで成り立っている聞こえのしくみですが、これら器官のいずれかに問題が起こることで、難聴が生じます。聞こえにくさや、耳鳴り、耳閉感などの耳の違和感を感じた場合は、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。

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